破産管財人と任意売却
破産管財人が行う任意売却とは、通常の任意売却と異なります。
通常の任意売却は、債務者が売主になって自分の意思で不動産を市場で売ることです。
しかし、不動産の所有者が自己破産した場合、裁判所の手続きによって破産管財人が選任される場合があります。
破産管財人は、破産申立人の財産の、管理・調査・評価・換価・処分を行います。
破産管財人は、自己破産に精通した弁護士が選ばれるのが通常です。
破産管財人は、債務者の不動産を少しでも高い金額で売却し、自己破産した債務者の債権者に対して、金銭を配当することが仕事になります。
この際、破産管財人が買主を探したら、売買を成立させるには、債権者(担保権者)に売買価格からいくら配当するかを交渉しなければなりません。
買主との交渉と、債権者との交渉の両方が成立して初めて、任意売却が成立することになります。
自己破産した場合、債務者の所有する不動産は、破産財団に属することになります。
債務者は不動産を含む財産の処分が自由にできなくなるのです(破産法78条1項)。
破産者の不動産は、破産管財人が処分権者となりますが、破産管財人も自由に売却することはできません。
裁判所の許可を受けて、債権者と交渉の上、売却することになります。
不動産に担保権が付いている場合、他の債権者より担保権者の権利が優先します。
担保権者は、競売などによって自ら担保権を実行し、破産管財人の意思に関わらず、その不動産を換価して配当を受けることが可能です。
破産管財人が任意売却をする場合、各担保権者に配当するとともに担保権抹消の依頼をします。
この際、配当を受けられない担保権者が、担保権解除料(ハンコ代)を請求してくる場合があります。
不当に高額な担保権解除料を請求された場合、または、債権者との配当交渉が難航する場合、破産管財人は、裁判所に対して担保抹消請求を行うことが認められています(破産法186条)。
担保抹消請求後、1カ月以内に対抗措置がなければ、請求は認められ、担保権抹消登記が可能になります。
このように破産管財人は任意売却による売買契約を成立させることができるのです。
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